
この記事のポイント
- 数字の説明より先に、担当の方の不安を聞くべきでした
- 説明会を3回開き、担当の方と一緒に手順書をつくり直しました
- いまは導入の前に、現場の方の話を聞く時間を最初に取っています
「仕事が奪われる」と言われた日
勤怠の業務代行を、ある会社に導入したときのことです。現場の担当の方に新しい流れを説明していると、「それでは、私たちの仕事が奪われます」と言われました。打ち合わせの部屋が、しばらく静かになったのを覚えています。
私は業務の流れの図と、減る時間の数字を用意していました。数字の上では、よい仕組みだったと思います。でも担当の方が知りたかったのは、明日からの自分の仕事でした。その不安を、私は聞けていませんでした。
前職の自分を、思い出しました
帰り道、前職の総務のころを思い出しました。食品メーカーで5年働き、人手不足と残業を減らす提案を何度もしましたが、社内だけでは変えられませんでした。そのあいだに、同僚が続けて辞めていきました。
いまは、仕組みを変える提案をする側にいます。それなのに、そこで働く人の話を聞かずに、仕組みの話ばかりを進めていました。まず聞くことから、やり直そうと決めました。
3回の説明会で、手順書をつくり直す
現場向けの説明会を、3回開きました。1回目は説明よりも、担当の方の不安と毎日の仕事の進め方を聞く時間にしました。2回目と3回目は、担当の方が使っている画面を見せていただきながら、一緒に手順書をつくり直しました。
書き出すときは、作業を1枚ずつ付箋に書き、担当の方にも自由に貼り替えてもらいました。自分の手で動かすと、どの作業が手元に残るのかが目で見て分かります。
新しい手順書では、仕事を次の3つに分けて書き出しました。どこが楽になり、どこに担当の方の判断が残るのかを、一つずつ確かめるためです。
- 担当の方が判断する仕事
- 業務代行が引き受ける作業
- それぞれで、楽になるところ
いまは、最初に話を聞く時間を取る
手順書をつくり直したあと、担当の方から「これなら、明日から何をすればいいか分かります」と言っていただきました。数字の上でよい仕組みでも、使う人が納得していなければ、現場には根づきません。
いまは導入の前に、現場の方の話を聞く時間を最初に取っています。導入先とは1か月の運用をふり返る打ち合わせを続け、届いた質問をもとに手順書も書き直しています。手順書は、使いながら育てていくものだと考えています。
前の職場で悔しい思いをした方こそ、その経験がこの仕事で生きると思います。業界が違っても、仕事の困りごとは似ています。働く人の不安を想像できることは、この仕事の大きな力になります。
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